中国からの輸入で多くの人が悩むのが「関税」です。「いくらかかるの?」「どうやって計算するの?」と不安に感じたことはありませんか?
関税の仕組みを知らずに進めると、思わぬコスト増で利益を圧迫してしまうことも。特に初心者の方にとって、関税制度は複雑でわかりづらいものです。
この記事では、中国の関税制度の基本から、計算方法、節税のポイントまでを図解付きでわかりやすく解説します。初めての方でも安心して読める内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
中国の関税制度の仕組みとは?
中国の関税制度は一見複雑ですが、基本的な仕組みを理解すれば、輸入コストを正確に把握できるようになります。まずは関税の目的や役割、品目分類の方法、関税率の構成要素について見ていきましょう。
中国の関税とは?目的と役割
関税とは、国境を越えて輸出入される商品に課される税金のことです。中国の関税制度は主に以下の3つの目的を持っています。目的を押さえることで、「なぜこの品目に高い税率がかかるのか?」が理解しやすくなるのでおさえておきましょう。
- 保護関税:中国国内の産業を外国からの競争から保護するため
- 財源確保:国家財政の重要な収入源として
- 報復措置:貿易摩擦などの際に外国に対する制裁手段として
HSコードによる品目分類の流れ

中国に限らず国際的な関税制度では、「HSコード(Harmonized System Code)」と呼ばれる世界共通の6桁コードで輸入品を分類し、税率を決定しています。
例えば、「6104.63」というHSコードは以下のように解釈できます。
分類コード | 分類名 |
61 | 第61類:衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る) |
04 | 第4節:女子用のスーツ、アンサンブル等 |
63 | 合成繊維製のズボン |
HSコードの決定は非常に重要であり、誤った分類をすると以下のような問題が発生する可能性があるので注意しましょう。(リファレンス Japan Customs)
関税率の構成要素
中国の関税率は以下の表のような複数の要素から構成されています。
種類 | 内容 | 税率例 |
一般税率 | WTO加盟国に適用される基本税率 | 繊維製品12%、機械部品3% |
特恵税率(EPA) | 日中EPAやRCEP協定国向けの優遇税率 | 0~5% |
暫定税率 | 一時的措置として設定。農産品や緊急品目で変動 | 農業機械などで変動 |
消費税(付加税) | 関税額+CIF価格に対して10%(地方2.2%含む) | (CIF+関税)×10% |
【図解あり】中国からの輸入における関税額の計算方法
関税額の計算は、中国からの輸入コストを正確に見積もるために不可欠です。ここでは具体的な計算方法と実例を紹介します。
中国関税の基本計算式と具体例
中国からの輸入品にかかる関税は、基本的に以下の公式で計算されます。
関税額 = 課税価格 × 関税率
ここで重要なのは「課税価格」の算出方法で、課税価格は以下の要素から成り立っています
- FOB価格:輸出港での貨物渡し価格
- CIF価格:FOB価格+輸送費+保険料
具体例1:アパレル(衣料品)の関税算出
- FOB価格:1,000 USD
- 輸送費:200 USD、保険料:20 USD → CIF=1,220 USD
- 関税率:12%
- 計算:1,220 × 12% = 146.4 USD
具体例2:電子部品の関税算出
- CIF価格:5,000 USD
- 関税率:3%
- 計算:5,000 × 3% = 150 USD

品目別の関税率表の見方と活用法
中国の関税率を調べるには、「中国輸入税率表」を参照します。この表はHS番号に基づいて整理されており、各品目の関税率を確認することができます。
関税率の味方のポイント
- まず正確なHSコードを特定する
- 該当するHSコードの最恵国税率を確認する
- 暫定税率がある場合はそちらを優先する
- 付加価値税と消費税も併せて確認する
輸入品カテゴリーと一般的な関税率の目安
主な関税率の表は以下の表を参考にしてください。これらは一般的な目安であり、実際の関税率は正確なHSコードに基づいて確認する必要があるので注意しましょう。
商品カテゴリー | HSコード例 | 一般的な関税率 |
アパレル・衣料品 | 61〜62類 | 7〜20% |
電子機器 | 85類 | 0〜15% |
家具・インテリア | 94類 | 0〜10% |
食品・飲料 | 16〜22類 | 5〜30% |
化粧品 | 33類 | 6.5〜15% |
中国輸入時の税金体系 ― 関税以外の課税と総コスト
輸入コストは「関税」だけではありません。実際の総コストを把握するためには、関税以外の税金も理解しておく必要があります。
輸入付加価値税(増値税)の仕組みと計算方法
中国から輸入する際には、関税に加えて「輸入付加価値税(増値税)」も課されます。これは日本の消費税に相当するもので、以下の計算式で算出されます。
輸入付加価値税 = (CIF価格 + 関税額) × 付加価値税率
付加価値税率は主に以下の2種類があります。
- 標準税率:13%(一般的な商品)
- 軽減税率:9%(農産品、書籍など一部の商品)
消費税が課される商品と計算例
一部の商品(贅沢品、環境に負荷を与える商品など)には、関税と付加価値税に加えて「消費税」が課されます。消費税が課される主な商品カテゴリーは以下の通りです。
消費税が課される主な商品カテゴリー
商品カテゴリ | 消費税率 |
タバコ・アルコール類 | 20〜50% |
高級腕時計 | 20% |
高級化粧品 | 15% |
石油製品 | 5〜15% |
自動車 | 1〜40% |
計算例(高級化粧品(HSコード:3304.99)を輸入する場合)
高級化粧品を輸入する場合は以下のような計算になります。このように、消費税が課される商品は輸入コストが大幅に増加することがあります。
項目 | 金額(元) | 計算式 |
CIF価格 | 5,000元 | – |
関税額 | 325元 | 5,000 × 6.5% |
消費税額 | 799.875元 | (5,000 + 325) × 15% |
輸入付加価値税(増値税) | 796.254元 | (5,000 + 325 + 799.875) × 13% |
合計税額 | 1,921.129元 | 325 + 799.875 + 796.254 |

【図解あり】中国の通関手続きの流れと必要書類
中国から商品を輸入する際には、関税の支払いだけでなく、複雑な通関手続きも必要になります。この流れを正しく理解しておくことで、不要なトラブルや遅延を防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
以下の図は、通関の基本的な流れを簡潔に示したものです。

必要書類
以下の書類は、輸入申告の際に必ず提出が求められます。記載内容に不備があると審査に時間がかかり、遅延や追加費用の原因となるため、正確に記入・準備することが重要です。
- 輸入申告書(HSコード・数量・価格を正確に)
- インボイス(取引条件・金額が明瞭)
- パッキングリスト(個数・重量・梱包形態を一致)
- 原産地証明書(FTA適用時必須)
通関手続きは一見シンプルに見えても、実際には細かなルールや書類の正確さが求められます。 税関検査が入るとさらに時間がかかる可能性もあるため、特に初めて輸入する方にとっては大きなハードルになることも。
万が一、手続きにミスがあると「追加関税」「通関の遅延」だけでなく、最悪の場合は輸入そのものが拒否されることもあるため注意が必要です。
スムーズな輸入とコスト削減を実現するには、次章で紹介する「関税を軽減する賢い方法」を取り入れるのがおすすめです。
関税を抑えるための賢い中国輸入の方法
輸入コストを削減するには、関税を合法的に軽減する方法を知っておくことが重要です。ここでは、実践的な4つのアプローチをご紹介します。
HSコードの正確な選択と戦略的活用
HSコードの違いによって関税率は以下のように大きく変わります。 同じような商品でも分類次第で税額が変わるため、製品の特性に基づいて正確に分類することが大切です。迷った場合は、税関に事前照会できる「事前教示制度」の活用がおすすめですよ。https://www.customs.go.jp/
- ハンドバッグ(HSコード:4202.21):関税率10%
- トートバッグ(HSコード:4202.22):関税率5%
特恵関税制度と原産地規則を利用する
中国は多くの国とFTA(自由貿易協定)を結んでおり、条件を満たせば関税が減免されます。関税の優遇を受けるには、「原産地証明書」が必要で、「十分な加工」が行われたことを証明する必要がありますが、利用するとで免税できるのは嬉しいポイントですよね。
保税区・自由貿易試験区を活用する
中国には「保税区」「自由貿易試験区」といった特別区域があり、これらを活用することで関税や通関コストの軽減が可能です。たとえば、上海自由貿易試験区では特定商品に対する関税免除や、迅速な通関対応が受けられます。これらの区域を活用する際は、現地ルールに精通したパートナーとの連携が効果的ですよ。
区域名 | 主なメリット |
保税区 | 関税猶予・保管・加工が可能 |
自由貿易試験区 | 関税免除や通関手続きの簡素化などの優遇措置 |
輸入代行サービスを利用するメリットと選び方
中国輸入には、HSコードの選定や通関書類の作成など、煩雑で専門性の高い手続きが多く発生します。これらを効率的にクリアするには、輸入代行サービスの活用が非常に有効です。
輸入代行サービスを利用する主なメリット
初めての中国輸入で不安な場合も、経験豊富な代行業者に任せることでトラブルやコストを最小限に抑えることが可能です。
メリット | 内容 |
専門知識の活用 | 関税計算・HSコード分類・税関対応などをプロがサポート |
手続きの効率化 | 書類作成〜通関〜納税までをワンストップで代行 |
リスク軽減 | 申告ミスや書類不備による通関トラブル・遅延を回避 |
コスト削減 | 最適な輸送ルートや税率適用により、総コストを抑えることが可能 |
信頼できる代行業者を選ぶポイント
代行業者をえらぶ際は以下のチェックを参考に選でみてくださいね。
チェック項目 | 確認するポイント |
日中両国に拠点があるか | 現地でのスムーズな対応と日本側でのサポートが可能かどうか |
取扱商品の専門性があるか | 自社商品と同じジャンルの実績があるか |
顧客評価や導入実績が豊富か | 過去の取引数や利用者からのフィードバックなどで信頼性を確認できるか |
料金体系が明確か | 手数料や追加料金の条件が透明に提示されているか |
アフターサポートが充実しているか | トラブル発生時の対応・返品処理・問い合わせ対応などがしっかりしているか |
まとめ
中国からの輸入ビジネスを成功させるには、関税制度の理解と正確なコスト計算が不可欠です。関税は単なる掛け算ではなく、HSコードの選定や付加価値税・消費税の計算など、多くの要素が関わる複雑なプロセスです。
初めての輸入では手続きが難しく、ミスのリスクも高いため、不安な方は輸入代行サービスの活用をするのがおすすめですよ。
「弘唯代行」では、HSコードの選定から通関・納税までワンストップで対応できますよ。最新の中国関税制度にも精通したスタッフが、日本語で戦略的に相談に乗ってくれますよ。 中国輸入に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。