「海外から商品を輸入したいけど、関税ってなんだか難しそう…」「関税のせいで思わぬ費用がかかるのが怖い」 そのように感じているあなたもこの記事を読めば、その不安が解消されるでしょう。なぜなら、関税の仕組みは決して複雑すぎるものではないからです。 本記事では、輸入ビジネスや個人輸入を始める方がつまづきやすい「関税」について、その基本から計算方法、支払いプロセスまで、初心者の方にも分かりやすいように徹底的に解説します。図解もたくさんしていきますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
そもそも関税とは?なぜ払う必要があるの?【基本を図解】
海外から商品を輸入する際に、国境を越える貨物に対して課される税金、それが「関税」です。なぜ私たちはこの関税を支払う必要があるのでしょうか。ここでは、関税の基本的な定義と、国が関税を課す目的について分かりやすくご説明します。

関税の定義と輸入国が課す目的

関税とは、海外から持ち込まれる物(輸入貨物)に対して、輸入国の税関が課す税金のことです。この税金は、主に以下の3つの目的のために課されます。
1. 国の重要な財源となる
関税は国の収入の一つとして、社会保障や公共サービスの費用などに充てられます。2023年度の日本の関税収入は約1.1兆円にも上ります(財務省発表)。
2. 国内産業を保護する
安い輸入品が無制限に入ってくると、価格競争によって国内の産業が衰退してしまう可能性があります。関税をかけることで輸入品の価格を調整し、国内産業を守る役割も果たしています。例えば、かつて日本の農産物が海外からの安価な輸入品に圧迫されそうになった際などに関税がその役割を果たしてきました。
3. 貿易政策の手段として
特定の国からの輸入を制限したり、特定の品目の輸入を調整したりするための政策的な手段としても使われることがあります。
関税の種類
関税には大きく分けて以下の3種類があります。
| 関税の種類 | 適用対象 | 特徴 |
| 基本税率 | WTO非加盟国に適用 | 最も高い税率 |
| WTO協定税率 | WTO加盟国に適用 | 一般的な税率 |
| 特恵関税率(EPA/FTA) | 経済連携協定を結んだ国に適用 | 最も低い税率 |
例えば、中国はWTO加盟国なので、基本的にWTO協定税率が適用されます。ただし、品目によっては特別な税率が設定されていることもあります。
関税の種類と計算方法を図解
関税額がどのように決まるのか、その計算の仕組みは輸入において最も気になる点の一つでしょう。ここでは、関税額を計算するために必要な要素と、適用される税率の種類について詳しく解説します。
従価税・従量税・複合税の違い
関税の課税方式には主に3つの種類があります。それぞれの課税方法について以下にまとめたので参考にしてくださいね。
| 課税方法 | 計算例 | |
| 従価税 | 商品価格 × 税率 | 100,000円 × 10% = 10,000円 |
| 従量税 | 数量 × 単位税額 | 5kg × 200円 = 1,000円 |
| 複合税 | 従価税 + 従量税 | 価格の5% + 1kg当たり100円 |
イメージ図は以下で、以下のように計算されます。

日本では多くの商品が従価税方式で課税されていますが、酒類やたばこなど一部の商品は従量税や複合税が適用されます。
実行関税率と協定関税率の違い
輸入貨物に実際に適用される関税率は一つだけではありません。日本の関税率にはいくつかの種類があり、通常、その中で最も低い税率が適用されます。特に重要なのが「実行関税率」と「協定関税率」です。それぞれの内容については以下を参考にしてくださいね。
| 区分 | 概要 | 適用場面 |
| 実行関税率(基本税率) | WTO加盟国に対して原則適用されるMFN税率 | 相手国と協定がない場合 |
| 協定関税率 | EPA/FTAや特恵税率(GSP)に基づく優遇税率 | 証明書を提出し要件を満たした場合 |
関税計算の具体例
実際の関税計算例を見てみましょう。ここでは、中国からTシャツ1000枚を輸入する場合の例をみていきます。
| 項目 | 金額 | 計算・補足 |
| 商品価格 | 300,000 円 | Tシャツ1,000枚の仕入れ額 |
| 送料 | 50,000 円 | 海上運賃・国際宅配便など |
| 保険料 | 10,000 円 | 輸送保険 |
| 課税価格(CIF) | 360,000 円 | 300,000+50,000+10,000 |
| 関税率 | 10.9 % | HSコードで決定 |
| 関税額 | 39,240 円 | 360,000 × 10.9 % |
| 消費税計算の基礎 | 399,240 円 | 課税価格+関税額 |
| 消費税(10 %) | 39,924 円 | 399,240 × 10 % |
| 総支払額 | 439,164 円 | 399,240+39,924 |
中国からの輸入品にかかる関税の計算方法
中国からの輸入品に関税を計算する手順は以下の通りです:
- HSコードを確認: 輸入する商品のHSコード(関税分類コード)を特定
- 適用税率を確認: そのHSコードに対応する税率を税関のウェブサイトなどで確認
- 課税価格を算出: CIF価格(商品価格+保険料+運賃)を計算
- 関税額を計算: 課税価格×税率
- 消費税を計算: (課税価格+関税額)×10%
例えば、中国から輸入するスマートフォンケース(HSコード:3926.90)の関税率は3.9%です。CIF価格が100万円の場合、関税は39,000円となります。
関税計算時によくある間違い
関税計算でよくある間違いは以下の表の通りです。特に初めて輸入する際は、これらの点に注意しましょう。不明点があれば専門家や輸入代行業者に相談することをおすすめします。
| ミス例 | 具体的なリスク | 防止策 |
| HS コードの誤選択 | 高い税率・過少申告罰則 | 税関へ事前確認(事前教示) |
| 課税価格の誤計算 | 追徴課税・延滞税 | 運賃・保険料を必ず加算 |
| 原産地証明の不備 | 特恵税率が適用不可 | Form A/FTA 原産地証明書を準備 |
| 少額輸入特例の見逃し | 不要な関税を支払う | CIF 1 万円以下は免税(※一部品目除く) |
関税はいつ、誰が、どうやって払うの?支払いプロセスを図解
関税の計算方法が分かったところで、次に知りたいのは「いつ」「誰が」「どうやって」支払うのか、という支払いプロセスですよね。ここでは、輸入手続きの流れの中で関税がどのように扱われるのかを分かりやすくご説明します。
輸入手続きの流れと関税支払いが発生するタイミング【図解】

海外から貨物を輸入する場合、税関に対して輸入申告を行い、検査を経て輸入の許可を得る必要があります。関税の支払い義務は、この輸入許可前に発生します。
関税を支払う義務があるのは「輸入者」
関税を納める義務があるのは、原則として「輸入者」です。個人で輸入する場合でも、ビジネスとして商品を仕入れる場合でも、関税を支払う責任は輸入者であるあなたにあります。
ただし、実際の輸入手続きにおいては、通関業者や輸入代行業者に手続きを委託することが一般的です。この場合、関税の計算や税関への申告、納税手続きなども代行してもらうことができますよ。

関税の主な支払い方法
関税の支払い方法は以下のようにいくつかあります。
| 方法 | 特徴 |
| NACCS口座振替 | 通関業者が使用。最短で貨物引取。 |
| ダイレクト納付 | インターネットバンキングから即時納付。 |
| 銀行・税関窓口 | 納付書を持参して現金または振込。 |
個人輸入や小規模な輸入の場合は現金納付となるケースが多いですが、代行業者を利用する場合は代行業者が立て替えて支払い、後から精算する形をとることもあります。
これなら払う必要なし!少額輸入貨物の免税措置【図解】
すべての輸入品に関税がかかるわけではありません。個人的な使用を目的とした輸入や、ごく少額の輸入については、関税が免除される場合があります。
課税価格1万円以下の免税ルールとその例外

一般的に、課税価格の合計額が1万円以下の貨物については、関税および消費税が免除されます。これは、少額の輸入に対する事務手続きの負担を軽減するための措置です。
ただし、以下の品目については、課税価格が1万円以下であっても原則として免税が適用されませんので気をつけましょう。
- 革製のバッグ、手袋、履物
- 編物製衣類(Tシャツ、セーターなど)
- スキー靴、スノーボード靴、ゴルフシューズ
- その他の履物類(本底がゴム、プラスチック、革製の靴など)
関税コストを下げる5つのコツー弘唯代行がフルサポート!
「関税って高い。」「極力やすくしたい」と感じている方は、まずは以下の5つのコツをチェックしましょう。以下を実践することで、利益率が一気に変わりますよ。
特恵関税・FTAで税率を下げる
発展途上国向けの特恵関税や、日本が締結するFTA/EPAを使えば、条件次第で関税が大幅に減免されます。ただし、原産地証明書の取得など手続きが煩雑なのが難点です。ミスがあると通常税率に戻るため、書類管理は必須となりますので気をつけましょう。
小口分割輸入と簡易税率のメリット・デメリット
課税価格20万円以下なら簡易税率が適用され、1万円以下は免税の可能性もあります。メリットとデメリットは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| メリット | 計算が簡単で、課税価格1万円以下なら関税が免除される可能性がある |
| デメリット | 品目によっては通常税率より割高になる場合や、意図的な小口分割は税関から指摘されるリスクがある |
闇雲に小口に分けて輸入すれば関税が得になる、というわけではありません。品目や数量によっては、通常税率でまとめて輸入した方が結果的にコストを抑えられる場合もありますので、しっかりと考えましょう。
輸入なら弘唯代行の利用がおすすめ
税の仕組みや計算方法、税率の種類など、理解すべきことは多岐にわたります。特に輸入ビジネスを行う上で、関税に関する知識不足や手続きミスは、予期せぬコスト増や納期の遅延に直結する可能性があります。
そこで代行業者の活用がおすすめです。弘唯代行は、お客様が関税で困ることなく、スムーズに輸入できるよう徹底的にサポートいたします。
中国輸入が初めての方、通関でつまずいた経験がある方は、まず無料相談をご活用ください。
よくある質問Q&A(輸入初心者がつまずくポイント)
はじめての輸入には「え!? こんなはずじゃ…」という落とし穴がつきものです。ここでは、弘唯代行に最も寄せられる質問をピックアップし、解決のヒントをブログ調でお届けします。
関税が予想より高くなってしまった場合の対処法
まずは HSコードの誤りを疑いましょう。税関に再照会すれば差額は返金可。すでに払っていても、1年以内なら更正の請求で取り戻せます。書類づくりに迷ったら弘唯代行へお気軽にお問い合わせください。
税関で止められた場合の対応策
通知に書かれた不足書類(インボイスや原産地証明)を即提出すれば大抵クリアできます。弘唯代行の通関チームなら平均2日で書類を作成してくれますよ。
関税に関する最新情報の入手方法
税率や制度は毎年のようにアップデートされるため、情報の鮮度が命。情報収集する場所としては、税関「カスタムスアンサー」、経産省メルマガ、JETRO通商メールが鉄板です。読む時間がない人は、弘唯代行に相談するのも1つですよ。
まとめ
関税は HSコードで決まる税率を課税価格(商品代+送料+保険)に掛けて算出し、輸入許可前に輸入者が納付する税金です。実行税率・協定税率など最も低い税率が適用されるため、FTA/EPAの活用やHSコードの見直し、少額免税・分割輸入・還付制度の利用、そして弘唯代行のような専門家への委託がコスト削減の決め手になります。これだけ押さえれば、関税への不安はぐっと小さくなりますよ、ぜひ参考にしてくださいね。
