「中国からの輸入に、規制はかかっていないだろうか」と不安になっている方は多いのではないでしょうか。2026年1月に中国政府が日本向けの輸出管理を強化して以降、中国の輸出規制リストを調べる方が急増しています。
この記事では、中国の輸出規制リストの仕組みと規制対象の主な品目、2026年2月に日本企業40社が掲載された2つのリストの内容を整理しました(一次情報は中国商務部の公告と、JETRO・CISTECの資料をもとにしています)ので、参考にしてくださいね。あわせて、中国輸入のEC事業者にどこまで影響があるのか、自分の商品が規制対象かどうかを確認する手順も解説します。
中国の輸出規制リストとは?
中国の輸出規制リストと一言でいっても、実際には複数の法律とリストが組み合わさっています。まずは全体像をおさえておきましょう。
輸出管理法と両用品目輸出管理条例
中国の輸出規制の土台になっているのは、2020年12月に施行された「輸出管理法」です。軍事転用できる品目や技術の輸出を、国が管理するための基本法です。
その下位法令として、2024年12月に「両用品目輸出管理条例」が施行されました。両用品目(デュアルユース品目)とは、民生用にも軍事用にも使える製品・技術のことです。条例では、輸出許可の仕組み、最終需要者(エンドユーザー)の管理、中国原産品を第三国から再輸出する場合のルールなどが定められています。

| 法令 | 施行日 | 役割 |
|---|---|---|
| 輸出管理法 | 2020年12月1日 | 輸出規制の基本法 |
| 両用品目輸出管理条例 | 2024年12月1日 | 許可制度・エンドユーザー管理・再輸出規制の詳細 |
| 両用品目輸出管理リスト | 2024年12月1日(毎年改訂) | 規制対象となる具体的な品目のリスト |
参考:JETRO「両用品目輸出管理条例」解説(PDF)、TMI総合法律事務所「両用品目輸出管理条例及び両用品目輸出管理リスト」
両用品目輸出管理リストの対象分野
条例とあわせて施行されたのが「両用品目輸出管理リスト」です。それまで公告ごとにバラバラだった規制品目を1つにまとめたもので、次のような分野の約700品目が収録されています。
- 核関連・特殊材料
- 電子機器・コンピュータ・通信機器
- センサー・レーザー
- 航法・航空電子・船舶・航空宇宙
リストは毎年12月末に改訂され、翌年1月1日に施行されます。2026年版は2026年1月1日から施行中で、レアアースなど近年追加された品目もここに反映されています。
リストに載っている品目は「輸出できない」のではなく、「商務部の許可がないと輸出できない」というのが正確な理解です。ただし日本向けについては、2026年1月からこの許可審査が非常に厳しくなっています。
参考:JETRO「両用品目輸出管理リストの概要」(PDF)、CISTEC「両用品目・技術輸出入許可証管理リスト(2026年度版)」(PDF)
2026年1月から始まった日本向け規制の内容
2026年1月6日、中国商務部は「両用品目の日本に対する輸出管理の強化に関する公告」(商務部公告2026年第1号)を公布し、即日施行しました。日本だけを名指しした輸出規制は、これが初めてです。内容は次の3つです。
| 用途 | 日本向け輸出の可否 |
|---|---|
| 軍事用途 | 禁止 |
| 日本の軍事力向上に寄与する用途 | 禁止 |
| 上記以外の民生用途 | 可能(ただし個別の輸出許可が必要) |
問題は、「日本の軍事力向上に寄与する用途」が何を指すのか公告に書かれていない点です。判断は中国当局に委ねられているため、民生用途でも許可が下りにくくなりました。日本経済新聞は2026年1月9日に、レアアース関連製品は民生用も輸出許可が滞っていると報じています。
参考:商務部公告2026年第1号(原文・中国語)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所「China Legal Update」2026年3月2日号(PDF)、日本経済新聞「中国の対日レアアース輸出、民生用も制限」
中国が輸出規制している主な品目リスト【7分野】
ここからは、中国の輸出規制リストの中で日本への影響が大きい品目を7つの分野に分けて紹介します。施行時期と、2026年9月時点の状態もあわせてまとめました。

| 分野 | 主な品目 | 施行時期 | 2026年9月時点 |
|---|---|---|---|
| 1. レアアース7元素・永久磁石 | サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムと永久磁石材料 | 2025年4月 | 継続中(日本向けは審査厳格化) |
| 2. ガリウム・ゲルマニウム・アンチモン | 金属・化合物・超硬材料 | 2023年8月〜2024年9月 | 継続中 |
| 3. タングステンなど5鉱物 | タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム | 2025年2月 | 継続中 |
| 4. 黒鉛・リチウム電池関連 | 黒鉛、電池用負極材、高性能リチウム電池 | 2023年12月/2025年10月 | 黒鉛は継続中、2025年10月追加分は2026年11月10日まで停止 |
| 5. ドローン・無人機部品 | 特定性能のモーター、赤外線カメラ、通信機器 | 2024年9月 | 継続中 |
| 6. 半導体・電子部品・センサー | 半導体製造装置、暗号製品、高性能コンピュータ、レーザー | 2024年12月 | 継続中 |
| 7. 化学品・麻薬前駆物質 | 有毒化学品、フェンタニル関連前駆物質 | 随時追加 | 継続中 |
1. レアアース7元素と永久磁石
日本への影響が最も大きいのがレアアース(希土類)です。2025年4月の商務部公告第18号で、7元素とその合金・酸化物・永久磁石材料が輸出許可制になりました。
このうちジスプロシウムとテルビウムは、EVや産業機械のモーターに使う高性能ネオジム磁石に欠かせない元素です。2026年1月の対日規制以降は日本向けの許可が出にくくなり、2026年5月の対日レアアース磁石輸出は前月比34.6%減の123トンまで落ち込みました。
なお、2025年10月に追加された5元素(ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウム)と国外での再輸出規制は、米中首脳会談を受けて2026年11月10日まで実施が停止されています。4月の7元素は停止の対象外で、現在も規制が続いています。
参考:JETRO「中国のレアアース輸出管理(1)日本への磁石輸出に大きな影響」、日本経済新聞「対日レアアース磁石35%減」
2. ガリウム・ゲルマニウム・アンチモン
半導体や光ファイバーの材料になるガリウムとゲルマニウムは2023年8月から、難燃剤などに使われるアンチモンは2024年9月から輸出許可制です。2024年12月にアメリカ向けは原則禁止となりましたが、こちらは米中合意で2026年11月10日まで停止中です。日本向けは通常の許可制が続いています。
3. タングステンなど5鉱物
2025年2月に、タングステン・テルル・ビスマス・モリブデン・インジウムの5鉱物が追加されました。タングステンは超硬工具の原料で、2026年に入ってから炭化タングステンの対日輸出が数か月連続でゼロになったと報じられています。
4. 黒鉛とリチウム電池関連
リチウムイオン電池の負極材に使う黒鉛は2023年12月から許可制です。2025年10月には高性能リチウム電池や負極材の製造技術にも規制が広がりましたが、この10月分は2026年11月10日まで停止中です。
5. ドローン・無人機の部品
2024年9月から、一定以上の性能を持つドローン用のモーター、赤外線カメラ、通信モジュールなどが許可制です。民生用ドローンの完成品がすべて規制されるわけではありませんが、部品単位で仕入れる場合は注意が必要です。
6. 半導体・電子部品・センサー
両用品目輸出管理リストの本体にあたる分野です。半導体製造装置、暗号機能を持つ通信機器、高性能コンピュータ、レーザー、特定のセンサーなどが含まれます。一般のEC商品でここに該当するものはほとんどありません。
7. 化学品・麻薬前駆物質
有毒化学品や麻薬の原料になる化学品は、両用品目とは別枠で管理されています。2026年5月には、フェンタニル関連の前駆物質3種類が米国・メキシコ・カナダ向けの規制対象に追加されました。
参考:CISTEC「中国の経済安全保障・輸出管理」最新動向ページ、JETRO「中国の経済安全保障に関する制度情報」2025年12月更新版(PDF)
日本企業40社が掲載された2つのリストとは?
2026年2月24日、中国商務部は日本の企業・大学あわせて40団体を、「輸出管理コントロールリスト」と「監視リスト」に掲載しました。中国の輸出規制リストというと、この2つのリストを指して使われることも多いので、違いを整理しておきましょう。

| 輸出管理コントロールリスト | 監視リスト | |
|---|---|---|
| 根拠 | 商務部公告2026年第11号 | 商務部公告2026年第12号 |
| 掲載数 | 20団体 | 20団体 |
| 両用品目の輸出 | 禁止(進行中の取引も停止) | 可能だが個別許可のみ |
| そのほかの措置 | 中国原産の両用品目を第三国経由で提供することも禁止 | リスク評価報告書と「軍事力向上に使わない」誓約書の提出が必要 |
| 掲載企業の例 | 三菱重工グループ、川崎重工グループ、IHIグループ、NEC系2社、JMU、防衛大学校、JAXA | SUBARU、ENEOS、TDK、日野自動車、住友重機械工業、三菱マテリアル、日東電工、東京科学大学 |
輸出管理コントロールリストに掲載された20団体
防衛装備品に関わる企業や研究機関が中心です。三菱重工は造船・航空エンジンなど5社、IHIはエアロスペースなど6社と、社内カンパニーや子会社単位で掲載されています。掲載された団体には、中国の輸出事業者が両用品目を輸出することが禁止され、日本や第三国の企業が中国原産の両用品目を提供することも禁止されます。
監視リストに掲載された20団体
こちらは防衛以外の事業が中心の企業も多く含まれています。輸出自体は禁止されませんが、個別許可のみとなり、審査も厳しくなります。監視リストという仕組みは中国がアメリカ企業に対しても使ったことがなく、日本が世界で初めての事例です。
掲載企業以外の日本企業への影響
リストに載っていない企業も安心はできません。1月6日の公告による許可制はすべての日本向け輸出に適用されるうえ、今後リストに追加される可能性も指摘されています。ただし、これらはあくまで両用品目の話です。衣類や雑貨などの一般消費財を扱う事業者には、直接の影響はありません。
参考:商務部公告2026年第11号(原文)、商務部公告2026年第12号(原文)、CISTEC速報「日本企業・大学等を輸出規制管理リスト・注視リストに掲載」(PDF)
中国輸入ビジネスへの影響【3つのポイント】
ここまで読んで、「自分の仕入れは大丈夫なのか」が一番気になるところだと思います。中国輸入でECを運営している方への影響を3つに整理しました(婦人服や雑貨を扱う方は、まず1つ目を読めば十分です)ので、参考にしてくださいね。

1. 婦人服・雑貨などの一般消費財は対象外
規制の対象はあくまで両用品目です。次のような商品は規制対象に含まれておらず、これまでどおり輸出できます。
- 衣類・靴・バッグ・アクセサリー
- 日用品・キッチン用品・インテリア雑貨
- 化粧品・美容グッズ
- 玩具・文房具・ペット用品
タオバオや1688で仕入れる一般的な商品は、ほぼこの範囲に収まります。
2. 磁石・電池・ドローン部品を含む商品は要注意
一方で、次のような商品は規制品目を含んでいる可能性があります。
| 商品の例 | 関係する規制 |
|---|---|
| 強力なネオジム磁石を使った商品(マグネット式ホルダー、磁石パーツなど) | レアアース・永久磁石 |
| 高性能リチウム電池を使った機器 | リチウム電池関連 |
| ドローンとその部品、赤外線カメラ | ドローン・無人機部品 |
| 産業用のセンサー・通信モジュール | 半導体・電子部品 |
安価な消費財用の磁石は多くが対象外ですが、出荷側が許可の要否を確認するために出荷が止まることがあります。仕入れ前に確認しておくと安心です。
3. 輸出許可の遅れで納期が延びるケースがある
規制品目に該当する場合、輸出許可の申請から取得まで数週間〜数か月かかるとJETROが報告しています。該当する商品を扱うなら、在庫を多めに持つ、代替の仕入れ先を確保するといった備えが必要です。
参考:JETRO「中国のレアアース輸出管理(2)輸出許可取得プロセスにおける課題」
自分の商品が規制対象か確認する4ステップ
「対象外だと思うけれど自信がない」という場合は、次の4ステップで確認できます。
1. 商品のHSコードを調べる
規制リストはHSコード(貿易品目の分類番号)をもとに管理されています。まずは商品のHSコードを、仕入れ先に聞くか税関の輸入統計品目表で調べましょう。
2. 商務部の管理リストと照合する
HSコードがわかったら、両用品目輸出管理リストと照らし合わせます。原文は中国語なので、CISTECの和訳・解説やJETROの解説を使うと確認しやすいです。
3. 仕入れ先に輸出許可の要否を確認する
輸出許可を申請するのは中国側の輸出事業者です。「この商品は輸出許可が必要か(是否需要出口许可证)」と仕入れ先に確認しておけば、出荷後に止まるリスクを減らせます。
4. 日本側の輸入規制も確認する
中国側の輸出規制とは別に、日本側にも輸入できない・許可が必要な品目があります。こちらは一般消費財でも該当することがあるので、あわせて確認しましょう。
| 日本側の規制 | 対象の例 |
|---|---|
| 関税法の輸入禁止品 | 偽ブランド品、麻薬、拳銃、わいせつ物 |
| 食品衛生法 | 食品、食器、乳幼児向けのおもちゃ |
| 電気用品安全法(PSE) | コンセントにつなぐ電気製品、モバイルバッテリー |
| 電波法(技適) | Bluetooth・Wi-Fi機器 |
| 薬機法 | 化粧品、医療機器、サプリメント |
輸入手続きや関税については、中国輸入の関税の記事でも解説しています。
弘唯代行では、仕入れ前に「この商品は輸出・輸入できるか」を日本語で相談できます。判断に迷う商品があれば、注文前にお問い合わせください。
中国の輸出規制に関するよくある質問
中国の輸出規制リストについて、中国輸入を始める方からよくいただく質問をまとめました。
輸出規制は日本向けだけですか?
いいえ。レアアースなどの品目規制は全世界向けの許可制です。ただし、2026年1月の公告により、日本向けだけ「軍事力向上に寄与する用途は禁止・民生用途も個別許可」という厳しい運用になっています。アメリカ向けにも別の規制がありますが、その一部は2026年11月10日まで停止中です。
レアアースを使った商品はすべて規制されますか?
すべてではありません。規制対象は7元素(および停止中の5元素)を一定以上含む金属・合金・磁石材料などです。一般的な消費財に使われる小さな磁石の多くは対象外ですが、仕入れ先に確認しておくと安心です。
輸出規制と日本の輸入禁止品目は何が違いますか?
輸出規制は「中国から出せるか」を中国政府が決めるもの、輸入禁止品目は「日本に入れられるか」を日本政府が決めるものです。両方をクリアして初めて輸入できます。中国側で問題がなくても、日本側の関税法や食品衛生法で止まることがあります。
規制品を知らずに輸入するとどうなりますか?
中国側の規制品は、輸出許可がなければ中国の税関で止まり、日本には届きません。日本側の輸入禁止品は、日本の税関で没収され、内容によっては処罰の対象になります。どちらも仕入れ代金が戻らないので、事前確認が大切です。
代行業者は規制対象かどうか判断してくれますか?
法的な該当判定は輸出事業者と税関が行うもので、代行業者が保証できるものではありません。ただし、仕入れ先への確認や、過去に出荷が止まった商品の情報など、実務的なアドバイスは受けられます。
まとめ
中国の輸出規制リストは、輸出管理法と両用品目輸出管理条例にもとづく品目リストと、2026年に加わった日本向けの規制・日本企業40社のリストで構成されています。対象はレアアースや半導体などの両用品目で、婦人服や雑貨といった一般消費財は含まれていません。
中国輸入のEC事業者が気をつけるべきなのは、強力な磁石・高性能電池・ドローン部品を含む商品だけです。迷う商品があれば、HSコードの確認と仕入れ先への問い合わせを注文前に済ませておきましょう。
規制の内容は頻繁に変わります。最新情報は中国商務部、JETRO、CISTECの公式情報で確認してください。
弘唯代行では、1688・タオバオ・AliExpressの注文代行から検品・発送まで対応しており、仕入れ前の「この商品は輸出・輸入できるか」という確認も日本語で相談できます。中国輸入で不安な点がある方は、お気軽にご相談ください。
中国輸入の仕入れ・検品なら「弘唯」にお任せ!
1688・タオバオ・AliExpressの注文代行から検品・発送まで義烏の拠点でワンストップ対応。「この商品は輸出・輸入できるか」という仕入れ前の確認も日本語で相談できます。相談・見積りは無料です。
